不労所得

 

「天然資源などの不労所得に恵まれた国家では、政治制度が発達しづらい」

という説がある

 

国家が国民からさほど税金を取らなくても、資源で歳入を確保できるから

というのがその大きな理由と言われている

 

たしかに国家というマクロな視点で言えば当たっていると思う

ただ、一個人の生涯を考えるとそうでもないように思う

 

例えば親が金持ちで小さい頃から塾に通ったり私立大学の附属の学校に通えば

かなりの確率で有名大学に進学することができる

すると就職活動もそこそこ順調に進み、当然のように金持ちが再生産される

 

ルックスの良さや身体能力も一種の不労所得である

ルックスの良い人とそうでない人がいたら、ルックスの良い方が人気者になるだろうし

そこから自信が生まれて更なる挑戦をする勇気を持てるかもしれない

 

生まれつき足が速くて小学校の徒競走で勝てば

それもまた人気を呼ぶし自信につながる

 

そして重要なことは、不労所得から成功体験を得た人は

その収穫を独り占めしようとしない

その気前の良さが好循環を生み出して、どんどんチャンスが舞い込んでくる

 

一方、勉強なりトーク技術なり何かのスキルを苦労して身につけないと

存在価値を発揮できないタイプの人間もいる

 

そうして自ら価値を生み出した人は、そこに涙ぐましい努力が乗っかっている分

他者に対して収穫を還元しようとせず、出し惜しむ

周りからは「出し惜しみするほど偉いもんか」と言われるけど

どうしても独り占めしたくなる

 

「ガリ勉」という言葉を例に取るとわかりやすいと思うのだけど

漢字にすると「我利勉」

必死に勉強した人が利己的な人間に見えるからこのような言葉が生まれたのだろうと思う

 

でも勉強の世界にも不労所得の恩恵に与っている人は居て、学年に一人くらいは

試験前友達に勉強を教えているだけなのにいつも上位の成績をとっている

みたいな人がいたと思う

 

そういう人は、生まれつき勉強ができて

さしたる苦労もせずに理解できてしまうから、それを他者に還元することになんの抵抗も持たない

 

ここまでの僻み節全開の論調からお分かり頂けたかもしれないが

私は自分が不労所得に恵まれなかったタイプの人間だと思っている

そしてもちろん「持っている側」の人間に対して僻んでいた時期もあった

でもそんなことしても問題は解決しないと気づいて、それもやめた

 

ブラックマヨネーズの吉田さんが整形の話題について触れた際

「今回の人生はこの顔で行くと決めてる」

みたいなことを言っていて、めちゃくちゃ潔くて良いなと思った

 

ルックスが良いとか悪いとかはうだうだ考えても変えられる要素じゃなくて

それをどう活かすかを考えるべきだと

そのほうがよほど健全だと思うわけだ

 

とりあえず私が今できることは

自分が苦労して手に入れたものでも

独り占めしようとせずに何でも還元しようとしてみることなのかなと

 

それで短期的には損をするかもしれないけど

そうやってこちらから何かを与えてこそ思わぬ拾い物をするチャンスに巡り合うこともあると思う

 

というわけで、気前のいい大人になりたいと思う